その他
啐啄同時
私の大学の恩師が、教育に最も大切なものとして語っていた言葉が「啐啄（そつたく）同時」という禅語でした。「啐」は鳥のひなが卵の中から殻をつつく音、「啄」は親鳥が卵の殻を外からつついて破ることです。殻を破るタイミングと成長が合っていなければ、ひなは無事に生まれてくることができません。
生徒が理解できるちょうど良いタイミングで必要なことを伝え、考えを深められる疑問を投げかけるに
は、生徒と教師が同調していなければならないと強調されていました。師弟の間にダイナミックに変化する関係性があり、状態によって教える内容が変化するわけですから、現在の大学で重視されているシラバス(あらかじめ示される詳細な授業計画)とは真逆な発想です。
これは病気治療にも当てはまることだと思います。良い薬やアドバイスも適切な時期に与えられなければ効果がないばかりか害にもなり得ます。生徒や患者さんの状態をしっかり見つめ対応することが、教師や医師に求められることだと思います。
院長 岡田 和史
