その他
治療抵抗性統合失調症に対するクロザピン治療
統合失調症は、幻覚妄想を主症状とし、有病率が10人に1人と比較的多くの方に見られる疾患です。お薬が合っていると症状は改善しますが、全体のうち3割程度の患者さんで十分な期間と用量で複数のお薬を試しても効果が得られにくいケースがあり、「治療抵抗性統合失調症」と呼ばれています。
この治療抵抗性統合失調症に対して適応があるお薬がクロザピンです。実は古いお薬で1971年に使用開始されましたが、白血球減少による死亡事例が相次いで報告されたことから長く使用できないお薬となっていました。しかし、他のお薬に反応しない患者さんのために近年では採血などの検査を行うことや、入院での導入を行うなど、厳密な基準が設けられ日本国内では2009年より使用されています。副作用が大変多いお薬で、限られた医療機関でしか処方できないこともあり、日本国内での使用例は海外に比べると非常に少ないですが、患者さんの大きな助けになっているお薬です。
精神保健指定医 吉丸 和宏
