その他
共にあること
薬を飲めば治る、話を聞いてもらえれば楽になる、認知を改善すれば世界が広がる。確かにうまくいく時はそうだし、大切なことではあります。ただ、薬を飲んでもなかなか良くならない、話をしても楽にならない、そもそもうまく話せない、認知が変わっても行動につながらない。現実にはそうしたこともしばしば起こります。
一人でぐるぐる回ってしまう中、解決策はすぐにはないけれど、しんどい時に誰かに関わってもらえること、それ自体が大きな力になるのだと思います。物事は単純ではなく、さまざまな要素が絡み合っています。今は糸口が見つからなくても、日々をなんとかしのぐうちに、良い方向へ向かっていく可能性は十分にあります。 人格を尊重され、否定されないこと。そして、共に考え、共に悩むこと。このこと自体簡単なことではないですが、治療や支援が果たす最も大きな役割だと感じます。
令和7年10月6日 高知新聞(朝刊)掲載
精神保健指定医 町原 敦
