その他
PMSとPMDD
月経前に身体・精神の変調を自覚する女性は多いのではないでしょうか。PMS(月経前症候群)は今や広く知られ、程度の小さなものを含めると8~9割の女性が経験しているという研究もあります。しかしPMDD(月経前不快気分障害)はあまり知られていないのではないでしょうか。機能異常を来すほどの非常に強い精神症状が月経10日ほど前から月経開始3日程度まで出現し、典型的には月経の開始とともに急激な症状改善が見られる疾患で、約5%程度の有病率があるとされています。その症状の激しさから、境界性パーソナリティー障害や、双極性感情障害と誤診されることもしばしば認められます。治療はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)というタイプの抗うつ薬を月経前の期間のみ、もしくは連日内服する方法が知られており、うつ病と違い内服当日より薬効を自覚しやすいことが知られています。周期的な気分変動に悩まれている方は、スマートフォンのアプリなどでその周期を確認していただき、月経との関連が疑われる場合はお気軽にご相談いただければと思います。
精神保健指定医 清水 峻
