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高齢者のせん妄
せん妄とは、一過性に生じる特殊な意識障害で、急激に変動し、興奮、錯覚、幻覚妄想など多彩な精神 症状を伴います。原因はさまざまですが、主に感染症、薬の副作用、代謝異常、脱水、環境の変化、ストレスなどが挙げられます。年齢が高くなるほど発症率は高まり、特に認知症、パーキンソン病、脳卒中など脳神経の病気を抱えている方は、普段と異なる状況が刺激となって突然発症することがあります。
高齢者のせん妄は、1日のうちでも意識水準が低下した時期、特に夜間睡眠中に出現しやすいのも特徴です。日中は比較的穏やかなのに、夜間はせん妄状態に陥り、混乱し、徘徊が続き、介護が著しく困難となり介護者は疲弊します。
せん妄の管理には、まず原因の特定が必要です。感染症の治療、薬の見直し、栄養状態の改善などに焦点を当て、安全な環境の整備や生活リズムを整える働きかけが重要です。本人のストレスや不安を軽減させるため、介護者のサポートも必要です。
副院長 笠井 秀夫
